ヒーコのロゴをようやくリニューアルしました
こんにちは、死にかけの不死鳥、株式会社XICO 代表の黒田明臣です。
念願である、コーポレートロゴのリニューアルを発表しました。ロゴリニューアルとそれに伴ういくつか変化を特設ページで公開しています。発表の中には、オウンドメディアのローンチも含まれているのですが、そこの記事第一弾としてこれまでのヒーコを振り返りながらアレコレ語ったりもしています。
あれからもう一ヶ月経つので改めてこれまでの経緯を振り返りたいと思います。
ウェブサイトの発表
ロゴリニューアル特設ページ
ヒーコのこれまでとこれから
ここでは、永い呟きともいえるアットホームな気持ちで、今回のリリースにむけて胸に秘めた思いをバーゲンセールでいこうと思います。ただの思い出話ですので、よろしくお願いいたします。
コーポレートロゴの刷新
今回ロゴアイデンティティを手掛けていただいたケルンのタカヤさんは、かれこれ6年くらいSNSでお互いにフォローし合っているような関係性です。絡みがおおかったわけでもないのですが、お互いにキャリアをスタートした時期が近いのもあって気になっていた存在だったのかもしれません。少なくとも私にとってはそうでした。
実はロゴのアップデート自体は2020年末頃から構想にあって、その頃からもしお願いするならタカヤさんが良いな〜と考えていました。実際に当時、費用感がいくらくらいなのかなどヒアリングしていたもののようやくお互いにタイミングがあったので今回、予算を用意できるだけ用意して、お願いして生まれたのが今回の作品です。
いま読み返してみるとキックオフが昨年末なので、ここまで実に3年越し。制作期間は数ヶ月に及んでいます、きっとたくさん悩ませてしまったんだろうな〜。しかし、ほんとうに良いロゴを仕上げていただきました。あの人すごい。クリエイティブならではの手触り感、計算不可能なゆらぎがあってたいへん気に入っています。
もともとのロゴは、素案を自分が決めて、グラフィックデザイナーからフォトグラファーへと転身した現在ヒーコの所属アーティストでもある柴崎まどか氏にお願いして出来上がったものです。かれこれ10年近く使っていたかな。
それで思い出したのですが、もともとロゴ制作を彼女にお願いした当時、ヒーコはいまのような制作会社ではなく、黒田個人がソフトウェアエンジニアとしてシステム開発という領域でソフトウェアエンジニアを適材適所でプロジェクトドリブンにアサインしたり、今で言うシステム業界のプロデュース & ディレクションをしていた会社でした。実態は個人の資産管理会社のような立ち位置もあったので、デスク一名と細々ときりもみしていたものですが、次第に写真業の方が大きくなってきてしまって、否応なく広告業界へとシフトされていくことになります。
そもそも事業として大きく展開しようとしていた取り組みではなく、あくまで身近なクライアントやエンジニアの課題をプロデュース & ディレクションしていただけともいえるので、特に問題はありませんでした。ちなみに、同時期に別途エンジニアリングサービスの会社を創業数名で立ち上げていて、自分はもう抜けているのですが、その会社自体は今のヒーコよりも数倍大きい規模に成長しています(笑) やはりマーケットが強い企業は勢いがあるなと勉強になりました。
脱線しかけた話しをまとめると、おんなじロゴでシステム開発とコンテンツ制作へとシフトして大丈夫なのか?と振り返れば、案外大丈夫でした。それは市場をまたいで根本的に同じことをやっているためです。さらに、この二つの領域はお互いから学べるところがあって、大枠のビジネススキームとワークフローは変わらず、経営方法の相性は良いものでした。もちろん計画していたことではなく、僥倖といういほかない学びです。あとは、ヒーコでエンジニアリングサービスをはじめたきっかけも、コンテンツスタジオををはじめたきっかけも、モチベーションという根っこのところが同じだったから所以かもしれません。
言葉にするのは難しいのですが、顧客の課題を解像度たかく解釈し、クリエイターに適切な機会と舞台を用意してやり抜くということにはそれだけで価値があるということです。この点において、やっていることは本質的に同じなんですね。ちなみに、自分にとってクリエイターの定義は広く、ソフトウェアエンジニアでもフォトグラファーでもアーキテクトでもデザイナーも等しく広義ではクリエイターです。
話しは長くなりましたが、ということで、2019年に制作会社として舵をきっていくまで、事業は異なるもののビジョンやミッションは変わらないため、旧来のロゴも変わらず活用していました。ところが冒頭の話しに戻りますが最初にタカヤさんにお願いしようとした2020年頃、コロナという逆風はありましたがそれまで制作会社として最初の一年間、小規模少人数で営んでいた世界から大きく飛躍することになります。当時からのロゴもすごく気に入っていたのですが、制作会社としての側面を強めるにあたって、広義におけるデザイン・クリエイティブという領域でプロダクションとしてプロフェッショナルサービスを展開している実態との乖離を感じることが強くなりました。
そこから3年、とにかく日々を必死に忙しなく働いていて気づけば2023年になってしまっていたのですが、結果的に想像以上の成長を遂げることができている現在となっては、このタイミングで本当に良かったと思います。
ちなみに、こう歴史を振り返って書いてみると10年間もやっていたのかと、驚きました。フリーランスの期間を含めると20年。とはいえ、この直近の10年間の経営者としての野望はフリーランスの域を出ておらず、私自身は経営者として会社を大きくしたいとか、成長させようといった欲望には著しく欠けている性格なのだなと自分の社会性や熱意、野心の矮小さがよくわかった期間でもありました。これはアマナの創業者である進藤さんや、周りの経営者、エクイティ調達などを行うスタートアップ経営者をみて思うことです。アントレプレナーとしてはかなり貧弱な部類に入ることは間違いありません。
ということで、とにかく、念願のコーポレートロゴの刷新が昨年末からプロジェクトスタートしました。
メディアのリニューアルについて
では何故、プロジェクトスタートから9ヶ月越しに発表されたのか。制作期間がそんなにかかったのか?というとそんなことはありません。ロゴが完成したのは春。そこから半年近く経っています(まじか?)
それはもう完全にこちらが幕の内弁当を仕掛けに言ったからという他ありません。そうなんです。実はもともとフォトグラファーWEBマガジンとして運用していたヒーコをリニューアルするというプロジェクトがこれまた2021年から構想としてありました。こちらも3年越しの計画です。
今のヒーコは、黒田がフォトグラファーとして活動していた制作業と、フォトグラファーWEBマガジンのメディア事業、そしてもともと自分が専門として行っていたソフトウェアエンジニアリング並びに新規事業開発といった領域の掛け算です。
2019年にヒーコが個人商店の撮影業からディレクションを主事業とした制作事業へと本格的にシフトして順調に成長していく一方で、フォトグラファーWEBマガジンというハイアマチュアの方々を対象にしたビジネスというのはブランディングのベクトルが逆相関しているということに写真業界への解像度があがるごとに気づかされました。この課題をどう解決させるかというのは最大の悩みで、当時月間12万UUほどには成長していたので、2023年頭まではメディア事業のターゲットをライフスタイル全般にまで拡げたB2C事業の延長として展開していく事でシナジーを見出そうとしていました。
もともとメディア事業も、ビジネスとしてなにか野望をもってはじめたことでもなかったので、コンセプトを変更すること自体に抵抗はなかったものの、制作事業が成長し続ける中で満足のいくリソースもとれずに3年の月日が流れてしまったというわけです。当時におけるヒーコ最大のミッションは、クリエイターをハッピーにすることでクライアントもハッピーにすることだった為、おおくのクリエイターにとって最大の誉れであるお仕事につながるスキームを強固にしていくことへ優先的に割かれていって気づけば3年の月日が経っていました。結果的にこのスキームは成功しているのですが、一方でメディアへのリソース配分がSNSにシフトしてウェブとして弱まってしまったことはいうまでもありません。
そしてこのプライオリティが変わることはこの先も永劫にないだろうと得心しはじめたのが昨年。そんなこんなで制作会社として軸足を改めて制作にふろうということでコーポレートアイデンティティを少しずつ形にし、今回思い切ってフォトグラファーWEBメディアとしても、一時期構想していたライフスタイルメディアとしてもクローズすることにしました。
そして、2019年間からの5年間、自分がデパートメントアドバイザリーとしてマーケティングはじめ事業戦略などお手伝いさせていただいていたアマナでの経験と学びを活かして、いわゆるB2Bマーケティングとしてのファンクションを期待したメディアとして細々とでも続けていこうと定めました。
これがあらたにローンチする「ビジネスとクリエイティビティが交差するヒーコマガジン」というものです。これは、いわゆる制作会社のオウンドメディアとして受け止めてもらえたらうれしい装置です。
B2Bマーケティングというのは、クリエイターの方にはあまり馴染みのない概念かもしれませんが、福田康隆氏のTHE MODELという本などが有名です。同書は2018年頃にむさぼるように読んだ事を覚えています。主にはSaaSなどの商材特化型プロダクトビジネスにおけるデファクトスタンダードのようなマーケティングフレームワークですが、アマナの中でも、クリエイティブ業界におけるマーケティング部門の立ち上げや営業組織とのつなぎ込みを設計してきた身として、自分なりの理論と成果が固まってきたこともあり、それを実践するなら自社でスモールにやってみようという発想からスタートしたものです。
つまり、ターゲットはクリエイター並びに企業のマーケティング部や販促部など、生活者や消費者と呼ばれる人たちにコンテンツを届ける側の人たちに絞ることにしました。これは2つの意味で私たちにとって価値のある取り組みです。
一つは、そもそも私たちが制作会社として常に、新鮮な失敗事例や成功事例、そして第一線のクリエイターはもちろんのこと、スポットライトを浴びることはないもののその方たちがなくては成り立たないような制作の担い手のインサイトを求めているということ。
二つ目は、そのような情報を求めるビジネスパーソン、プロデューサー、ディレクター、そしてクリエイターとしてのデザイナーは、私たちにとって潜在的なパートナーでもあるのです。
もしこのヒーコマガジンが思い描いているとおりに機能すれば、制作事業の成長にも寄与し、当メディアで取り上げることのできたクリエイターの方たちへの仕事につながったり、スポットライトのあたる制作の担い手にとっても仕事につながったりする機会を提供できる可能性があります。そういう目論見をもって、ビジネスとクリエイティビティが交差するという表現をしているわけです。
また、幸いヒーコにはRECOという、インスタグラムでのキュレーションメディアを保有しています。こちらは写真家の保井崇志氏が立ち上げたプロダクトを事業譲渡していただいて今日まで運営していたものです。あれは2019年でした。主にSNSに作品を発表支援することで成長してきたメディアでしたが、こちらでも組写真や実績、映像などを共有することでお仕事のきっかけを提供することができるかもしれない。そういう期待も込めた取り組みになっています。
ということで、そのような思いを乗せたメディアのスクラップ&ビルドが控えている中、ぜひこれは新しいロゴの上で発表したい。そういう思いからこの素敵なロゴの完成からしばらくエイジングしつつ、今日まで発表の日を延ばしてきたのです。
アーティストエージェンシーについて
そしてさらにもう一つ。アーティストエージェンシー事業のローンチも同時に発表させていただきました。これも以前より構想していたことで、この一年間ほど企画してあたためていたものです。
ヒーコは、2020年よりメディチイズムというクリエイターギルドを運営してきました。ギルドというのは、コミュニティのような横のつながりは満足にできていないものの、専門的な職能をもつクリエイターの集まりという意味で定義しています。クリエイターネットワークというともっとわかりやすいかもしれませんが、ネットワークとか人脈といった言葉が好きではないのでこのような言葉遣いにしています。
当社のようなクリエイティブプロダクションビジネスというのは、プロデュース、ディレクション、クリエイションという三つの領域で成り立っていると定義されています。これは2019年の立ち上げ時の構想から変わっていない考え方で、キーエンスのファブレス経営にインスパイアされて生まれた方針です。
つまり、工場となる制作機能は社内ではもたず、専門性のある個人や組織に発注し、ヒーコのインハウス機能はディレクションにフォーカスしようという発想でした。なので、2019年の事業化当初よりヒーコの従業員はまず全員ディレクターという役割を目指すことからはじまります。ディレクションを行う前にはプロデュースという役割が必要不可欠で、規模が大きくなるとプロデュースという機能もビジネスプロデューサーとクリエイティブプロデューサーといった形で細分化されてきたりもしているのですが、ブレイクダウンしすぎると位相が合わなくなってくるので当社の規模ではいまのところプロデュースで一元化しています。そして最初は自分が一人その機能を担っていました。(いまでは複数人で対応していますが)
つまり、ヒーコのビジネスモデルはプロデュースとディレクションはインハウス化して、クリエイションパートは、パートナー化したクリエイターとコ・クリエイションしていくというものです。なので、例えば黒田がフォトグラファーとしてクリエイションに従事するということも可能ですし会社の利益だけを考えると外注原価率0%で可能なので合理的なようにも思えるのですが、できるだけ避けてきました。これはフォトグラファーとしての自分のエゴを考えると勇気のいる決断でした。
ということで、メディチイズムというクリエイターギルドを通して、クリエイターと共創しながらクライアントイシューを解決していくというのがヒーコの実態です。
こう話すと、アーティストエージェンシーとしてクリエイターを排他的に擁立することはインハウス化に近しいように感じられるかもしれませんが、実はそうではないというのがこの事業を開始した肝です。それは所属いただくといってもあくまでエージェントとして代理人業務を請け負うだけであり、クライアントの役務提供契約はアーティストと顧客の間にあれば、当社の案件をご紹介することに価値を見出していただいているわけではないということなのですが、もう少し心情的な思惑もあります。
ヒーコが展開するアーティストエージェンシーは、業界のマネジメント手数料と比べると破壊的な水準で、この先営利目的で人数を拡大していくという戦略をとる予定はありません。さらに、お仕事を紹介することに対する期待値ではなく、エージェントとして機能することに対する期待値で所属していただいています。
当社の共存共栄の志に賛同してくれる人たちとであれば、私たちは少ない手数料でも最低限しっかりとエージェントとして顧客折衝や管理部門支援をさせていただいて、アーティストのキャリアプランまでプロデュース & ディレクションし、その先にある機会をヒーコが提供することでお互いに実りのある価値提供が世の中に対してできるのではないか?という発想です。
アーティストのもつシグニチャーに、私たちが後方支援させていただくことでお互いに社会への価値提供をする機会と質が増加することを期待した取り組みとして行っているもので、世の中一般的なクリエイターマネジメントオフィスとはにて非なるものであることに間違いありません。
活躍するアーティストの方たちが当社の看板を背負って、メディアビジネスやコマーシャルビジネスやアートビジネスなど様々な領域で活動の幅を拡げていくことができれば、ヒーコのプレゼンスも増加し、所属しているアーティストのキャリアプラン自体もディレクションしてくことができるのではないかと思いからスタートした事業です。
あまりにも永い呟きになりました。本当はもう少し、事業の成長につながるような事を営業的に書いたほうが良いのかもしれませんが、ただ信条を吐露するだけになってしまいました。
これからの展望について
今回のこのリリースはヒーコにとって、決して小さくないものではありますが、年内他にもいくつか控えている発表があります。
少し公開できるものとしては、現在港区に構えているオフィスとスタジオを移転し、渋谷区の恵比寿に移転し、レンタルギャラリーとレンタルスタジオ事業を開始する予定です。現在、ギャラリーやスタジオのデザインなどに目下頭を悩ませている最中です。
毎日大変ですが、幸いなことに、従業員の成長もあいまって私がこういった自社案件に注力できています。5年前では考えられないことですね。スタジオは居抜きの物件なので、そのまま使っても良いのですが、撮影スタジオとしての機能を強化し、映像配信や展示会などでもご活用しやすいようにデザインを行っているところです。
スタジオは、強力なパートナーといっしょに、あまりヒーコの色が出すぎずできる限りニュートラルに様々なアーティストの方が使い易いなコンセプトを企画中です。
いずれも年内には発表できる見込みなので、少々お待ちください。
また、強いて言うならば人が足りません。決して楽ではない環境で、負荷も多く、時代に即していない側面もあるかもしれません。ですが、中々面白い経験とビジネスパーソンとして圧倒的に成長できる機会は提供できます。
フルタイムとしてヒーコで働いても良いという方がいましたらぜひ、お声がけください。未経験者、経験者、どちらでも歓迎です。
よろしくお願いいたします。