フォトグラファーがイベント登壇するときに気をつけていることまとめ
突然ですがイベント登壇について気をつけていることを備忘録兼ねてまとめます。
これは嘘だと言われるかもしれませんが、自分は人前に立つことがあまり得意ではありません。あまり得意ではないというか、好きではない。話しはじめたら確実に「伝えたい」ので、おおく話しがちではあるものの、基本的に「おしゃべり」ではないので、お題がなければ特に何も話したいということはないわけです。
必要性をかんじなければ、すすんで前に出るということはあまりしません。ただ、「話せるか、話せないか」と聞かれたら話すことが苦手なわけではないので、「話せるし、登壇もできる」ということになる。
そんな面倒な自分が、今回のCP+ 2019でのステージ登壇13回とか、セミナー・イベントとかトークショーとか、この二年間色々重ねてきていくつかわかったことがあるので簡単にまとめます。
等身大を意識する。
話すのが仕事なわけではないことに自信を持つ。と言っても良いかも。自分が前に出るときは、写真家として立っていて講演のプロフェッショナルとしてではないんですよね。これを言い訳にするというわけではないですが、冷静にそう考えて無理に肩肘はって緊張してしまっては元も子もない。
「失敗したくない」という強い思いによって、言葉を選びキレイ事に終始し毒にも薬にもならないような話にならないよう、「等身大」を意識しています。
特に自分のようにキャリアも浅くアカデミックなことを話せる立場の人間が登壇するということは、万物の法則を知りたいわけではなく「クロダのやり方」が知りたいということだと思うので、別にしゃっちょこばる必要はないのです。
教えではなく、提案である。
基本的に自分に自信のない人種なんですよね。なので、一対多の構図となるステージでトップダウンに物事を教えるというのはあまり性に合わず。
数百人前に何かを教えるという意識ではなく、「自分の考えはこうであり、其の提案を今日はしたい」という意識で臨んでいます。
万人にとっての正義というのは物理法則でもなければそうそうないと思っているので、そういったものを説こうと思えば肩肘もはらざるを得ないですが、提案と考えればそれも少し和らいできます。人前に立っておいて場合によってはお金もいただいて「自分なんかが」というのも正しい姿勢ではないと思うので、あくまで「私が知っていることに価値を見出してくれてありがとうございます」と、「今回はその提案をしにきました。」というスタンスです。
主観と客観で準備する。
これは特にセミナーですが、開催する前には準備を念入りにします。このフェーズで必要なとにかく想像力。前日夜から当日終わりまで、どの道を歩いてどのように会場にたどり着き皆に声と映像が届いて無事ステージを降りることができるか、ということを考え抜きます。これが主観的な考え方。未来の自分を想像して、抜けもれなく終えることができるか。
さらに客観的にも考えます。伝えられる立場としての視点。そうこうしていくとセミナー資料が200P超になることもありますし、それだけでは伝わらなかったと感じれば、データを付属する必要があるという答えになることになることもありますし、抽象度の高い話でわかりづらいかもしれないと感じれば具体例を添える、など。想像して一連の流れを受け身で考えることでやらなければいけないことが浮き彫りになったりすることもあります。
その準備は、できるだけ形になっていると良くて、それは資料であったりチェックリストであり、色々な形としてあらわれるとなお良しです。
振り返ることができるか(有料セミナーの場合)
これは自分も正直徹底できていないというか、どちらかというとオーガナイザーのスコープだと思うわけですが、有料で学習セミナーやワークショップを開催する場合、体験そのものに価値がある場合をのぞいて、学びに来ている人たちへの対価としては、家に帰っても学ぶことができるかというのは一つの指標にしています。
その場で話して伝えて終わりであれば講師側は楽ですが、人間は忘れる生き物ですから、そこで学んだことをあとから振り返ることができるかというのは大切にしたいポイント。
目を合わせる
これが必須なのかどうかはわかりませんが、参加されている方たちと目を合わせるようにしています。基本構造としてこのご時世◯◯◯万PVとか◯◯◯インプレッションというのが当たり前になってきている中で、数百や数十が限度のオフラインイベントを開催する意味とは何か?ということをすごく考えます。
それはやはりFace to Faceのコミュニケーションであり、お互いが生身で時間を共にということだと思うんですよね。時間を作ってきてくれたこと、いま会えることを考えて、できるだけ全員と目を合わせられるように視線を広く配るようにしています。
目があうこともあれば合わないこともあるけども、それで顔を覚えられるようにします。名前を覚えるのが苦手なので、せめて顔だけは覚えられるように。
抑揚をつける
やりがちなのは、資料をつくって、それをなぞるようにボソボソと喋ってしまうこと。これは本当に良くない。寝ます。書いてある以上のことが伝わらなければ足を運んでもらった意味がないわけで、ここに徹底した準備とのジレンマが潜んでいます。
徹底した準備を行って資料を用意して、それを持って帰ってもらいながら、その場では音や空間やテクストとのシナジーを感じてもらうというのが理想だと考えているので、座学のセミナーの場合は抑揚をつけて話すということを意識しています。
朗読ではなく、生の声を伝える。ライブシューティングやワークショップも然りですね。自分も気を抜くと念仏唱え始めてるんで注意が必要です。
あると良いもの
QRコード
最悪現地で資料をダウンロードしてスマホで確認できるように、資料へのURLをQRコード化したものを用意しておくと良いです。
レーザーポインター
資料のどの部分を指しているのか示せるようにあると便利です。
ピンマイク
トークショーであれば手持ちでも良いのですが、単独ステージの場合は両手が使えると良いです。スライド送りも自分ですから。
ノートPC
オーガナイザーが準備してくれる場合もありますが、一応自分でも持っておくと良いですね。基本的には自分のものを利用する感覚で良いのではないでしょうか。パワポやキーノートだけであればよいですが、見せたいファイルなどがあればそれも準備したり。
アイテム
現物のあるセミナーであれば用意すると良いです。例えば自分はライティングセミナーなど、機材ふくめてご紹介する場合には現物を用意して休憩時間にさわってもらったりするように手配したりします。
まとめ
これは自分が二年間やってみて、感じたことなので、まだまだアップデートするかもしれませんが、基本的にフォトグラファーというのは話すのが仕事ではないですから、変に肩肘張らずに来てくださった方への感謝をみせつつ楽しんでもらうというのがハッピーなんじゃないかなと思います。はい。では皆様良いGWを!